70歳まで現役で働くことを目指すコグリンです。
今日は、先日下記記事でご紹介した著者 岸見一郎氏の「ほめるのをやめよう リーダーシップの誤解」を読んだ感想および要約をご紹介させて頂きます。私にとって新たな学びや気づきが得られた良書です。
感想
今後、環境変化が益々加速し、より先行きが不透明で且つ複雑な混迷の時代に入っていくことが想定される。そんな中で、日本企業は新たな価値創造を目指し、量より質のレベルアップを通じて、業界内での優位性を築きながら成長していくことが予想される。
そのためには、個人に依存したカリスマ的なリーダーシップより、多様な価値観を取り入れた民主的なリーダーシップを発揮して、経営資源の最適化・最大化が目指していくことが課題となってくる。
その際、忘れてはならないのが、「人は働くために生きているのではなく、幸福であるために働く。」と言った真理である。
著者がこの本を通じて言いたかったことは、以下の2点に凝縮されると言っても過言ではないと感じた。
- 人が幸福を感じる思考プロセスは以下であると言っている。
①人は、「ありがとう」「助かった」と言われることで貢献感が得られる。
②貢献感が得られることで、自分に価値があると思える。
③自分に価値があると思える時にだけ、勇気を持てる。
④勇気を持てたら幸せになる。 - 上記の「貢献感」は、上司(リーダー)と部下の「対等」な関係から生まれる。
リーダーは、部下をほめることも叱ることもしてはいけない。それは、対等な関係が築けないからだ。すなわち、リーダーは部下と対等な関係性を築き、部下が貢献感を実感できる状況を作っていかなければいけない。
また、この本のリーダー論から話は反れますが、この本を読んで私にもろに刺さったのが次の文です。
「人の役に立つことをしなければならないとわかっていても、それを犠牲的な行為と思っている限り、仕事はたのしくはありません。」
最近、私自身仕事がもっぱらつまらない原因は、自己犠牲を払っている感覚が強く、貢献を実感していないことにあると気付きました。
では、「自己犠牲」と「貢献」の違いは何が違うのか。
自己犠牲は、自分の身を削って、人の役に立つことで、
貢献は、自分の能力を活かして、人の役に立つことであると言えます。
要は、自己犠牲には自身の成長は感じられず、貢献には自身の成長が感じられると言った明確な違いがあることが分かります。
では、なぜ、今私は自身の成長が感じられていないのか?と振り返ると以下の3点が挙げられます。
- 会社内のルール化された管理作業や事務手続きに時間を割かれている。
- 部下の仕事が円滑に進められるよう、隙間の細かな調整業務が大半を占めている。
- 自身の能力(課題を抽出して提案する能力)を伸ばす機会が少ない。
よって、自身の成長を感じ、ひいては、貢献を実感していくための方向性としては、上記1.2.の仕事を減らして、3.の仕事を増やしていくことにあると考えます。
具体的な解決のアクションについては、私が今抱えている課題を考慮してプランを考えていきたいと思います。
- 70歳まで現役で働き続ける。
- 中小企業診断士の資格を活かす。
- これまでのキャリアで培った強み(マネジメント力)を活かす。
この本の要約
要約を以下に箇条書きで記していきます。
著者の価値観(前提)
- 部下よりも、まず自分が何をしていけるかを考え、その上で、部下に援助を求められる人こそ、リーダーにふさわしい。
- 必要なのは、カリスマ的なリーダーシップではなく、民主的なリーダーシップ。
人は何のために働くのか
- 人は働くために生きているのではなく、幸福であるために働く。
人が幸福を感じる思考プロセス
- 人は、「ありがとう」「助かった」と言われることで貢献感が得られる。
- 貢献感が得られることで、自分に価値があると思える。
- 自分に価値があると思える時にだけ、勇気を持てる。
- 勇気を持てたら幸せになる。
貢献は自己犠牲ではない
- 人の役に立つことをしなければならないとわかっていても、それを犠牲的な行為と思っている限り、仕事はたのしくはありません。
著者の考えるリーダー論
- リーダーと部下は「対等」であり、「言葉」によって協力関係を築く。
- リーダーとして必要な心構え3点。
- リーダーは、教育者でなければならない。
- リーダーは、部下を一人の人間として尊敬し信頼しなければなりません。
- リーダーは、部下の仕事に責任を持たなければなりません。
- リーダーは、部下をほめることも叱ることもしてはいけない。
- ほめることの弊害
- ほめられると自分に価値があるとは思えなくなる。
- 対等な関係でなくなる。
- 叱ることの弊害
- 自分に価値があると思えなくさせる。
- 対人関係の心理的距離が遠くなる。
- 即効性はあるが、独創性や創意工夫を発揮しにくくなる。
- リーダーの仕事は、組織の犠牲になることではなく、貢献することである。
- 自分は組織に貢献していると感じているリーダーは、貢献している自分に価値があると感じる。
- リーダーの仕事は、貢献感を持って仕事をするモデル(模範)になることである。
- リーダーは、不完全である勇気をもつべし。他人と比較はせずに、前の自分と今の自分を比較するべき。
- リーダーは、誰の貢献に負うところが大きいかを常に把握し、その貢献に感謝するべし。
- リーダーは、どんな仕事もチームプレーであり、仕事を競争ではなく協力であると思えるようにする。
- 混迷の時代でリーダーがやるべき3点
- リーダーは部下の考えを聞かなければならない。
- 一番必要なのは部下からの信用と協力です。
- リーダーとして決断する勇気を持たなければならない。誤りは速やかに認める勇気が必要。
上司・部下で見た場合の、上司の対応
- 上司は部下を勇気づけなければいけない。
- 具体的には、「ありがとう」「助かった」という声をかけるのは、部下が貢献感を持つことで自分に価値があると思え、仕事に取り組む勇気を持てる援助をする。
- 部下が喜んで仕事に取り組むようになるためには上司がモデルにならなければなりません。
- 上司と部下が良い人間関係を構築する条件
- 上司は部下を尊敬、信頼する。
- 尊敬とは相手がその人らしく成長発展していくように気遣うこと。
- 信頼とは、部下が自分で課題を解決する力があると信じることと、部下の言動には良い意図があると信じること。
- 上司と部下間でコミュニケーションを取り、協力する関係を築く。
- 目標を一致させる。
- 上司は部下を尊敬、信頼する。
- 上司は理不尽に叱ってはいけないし、どんな場合も感情的になってはいけない。
- 言葉で指摘し、改善点があればきちんと伝え、責任をとってもらう。
- 部下が失敗しても叱らないで、言葉で説明すれば良い。
- 上司がいったことでも間違っていたらそれを正せるような部下を育てるためには、自由に発言できる雰囲気を作らなければならない。
- 部下の意見にしっかりと耳を傾け、必要があれば部下に相談しよう。
- どんな部下であっても、「私は何かできることがあるのではないか」と考えなければいけない。そうでなければ、組織のあり方は変わらない。
以上
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